2018.11.25
がんばるあなたへ!理恵子先生のガッツめし
部活をがんばる子どもたちや、スポーツが大好きなお父さん・お母さんを食事の面からサポートしたい!そんな声にお応えして、アス飯料理研究家・山瀬理恵子先生が特製応援レシピを考案してくださいました。本来持つ力を最大限に引き出せるよう、エネルギーや食材の栄養素について、そしてプロアスリートが試合までにどのような栄養素を摂取するのか徹底解説!スポーツをしない方でも日常生活でエネルギーがどれほど大切なのかを改めて実感することができます。
日常生活でも大切なエネルギー
エネルギーはすべての源
エネルギー源として使用される栄養素には、炭水化物、脂質、たんぱく質があります。このうち、スポーツ時のエネルギー源のほとんどを炭水化物に依存するのは、分解や吸収が早く、効率が良いためです。ご飯、パン、うどんやそばなどのめん類、じゃがいもやかぼちゃなどの根菜類、バナナなどの果物にも含まれる炭水化物(糖質)は、体内で消化されてブドウ糖になります。ブドウ糖は血液を通して全身に運ばれ、エネルギーとして消費。私たち人間は主に、ブドウ糖を中心としたエネルギーを燃やすことで、生命活動を維持しており、これが脳を活発に働かすためのエネルギーになったり、筋肉に蓄えられ、運動するためのエネルギー源となったりします。
エネルギーが枯渇すると…
エネルギーが枯渇するというのは、車でいうガス欠を起こしたような状態に陥っています。頭がぼうっとしたり、体に力が入らなくなってしまうことも。空腹の状態で行動を起こせば、何よりも先に“お腹が空いている”ことに意識を取られます。思うように体を動かしたり、想像力を持って、臨機応変に次の動作に結びつけることが困難になります。対照的に、集中力があるというのは、脳がしっかりと働いている証拠。血糖値が下がらないように、エネルギー源となる炭水化物を摂取していくことで、集中力を持続させることが出来ます。よって、エネルギー消費量の特に多い運動中は、糖分を摂取し、エネルギーを補給することが重要です。エネルギーを補給しながらの運動の方が、筋肉中のエネルギーを温存し、たくさんの質量をこなすことができます。
※運動中に関してはお茶や水より、スポーツドリンクやレモンのはちみつ漬けの方が◎。
運動と酸化の関係
活発な運動では大量に酸素を吸い込むことになります。運動での負荷が大きいほど細胞はより多くの酸素を必要とするため、体内に取り込まれる酸素量も多くなり、活性酸素も多量に発生。体もさびやすくなります。これらが筋肉などの疲労や炎症を起こす原因となるため、運動時には特に、活性酸素と闘う抗酸化物質を摂取する必要があるのです。酸化を防ぐ=細胞膜を強くすることであり、ここで重要なのが、人間には作り出すことの出来ない、植物化学成分(フィトケミカル)を摂取すること。フィトケミカルとは、植物に含まれる色や香り、苦味、アクなどに含まれる機能性成分(抗酸化成分)のことで、代表的なものにトマトのリコピン、緑茶のカテキン、にんにくのアリシン、にんじんのβカロテン、すりごまのセサミンなどが拳げられます。
プロアスリートが実践する試合までの1週間献立
理恵子先生は19年間、元日本代表・山瀬功治選手を支えてきました。プロアスリートにとって食事はとてもデリケートで、アスリートフードマイスターとして栄養面から、山瀬功治選手の食事をサポートし続けています。ここでは試合までの7日間で実際に山瀬功治選手がどのような食事を摂っているのかを解説し、その中から6日目と7日目に必要な栄養素を組み合わせた試合前に適したレシピや献立をご紹介していきます。
○1日目
前日の試合、または練習で失われてしまったエネルギーを補うための炭水化物、傷ついた筋肉を修復するためのたんぱく質、汗で失われたビタミン、ミネラル、水分などを積極的に摂取していきます。出来る限り、消化の良い食材から満遍なく、バランスよく栄養を摂取することを意識しています。
○2日目(オフ日)
オフ日は、運動による消費カロリーが激減するため、低糖質、低脂質を心がけ、摂取カロリーも落とします。内臓を休める作業に当てたり、意識して食事を抜く場合も。また、それとは正反対に、心身のリフレッシュのために、普段は節制・ストイックな生活で、なかなか食べることが出来ない嗜好品(夫の好きな甘いものなど)をいただく場合もあります。理論ではなく、心から好き、おいしいと思えるものをいただいて、積極的に脳を喜ばせる作業に当てることも(セロトニン=幸せホルモンなどの神経伝達物質をしっかりと放出させる)。その時々のコンディションや心身の疲労具合を確認し、長年培った経験から夫婦で相談して、臨機応変に最適な方を選択するようにしています。
○3日目
オフ明けは、午前と午後の2回に分けた練習をする場合も。基本は、持久力アップや、筋力アップに適したメニュー構成を組むことが多いです。糖質はすぐにエネルギーになる性質のものと、ゆっくりエネルギーになる性質のものを組み合わせ、エネルギーを持続させる工夫も行っています。より栄養価の高い食材を積極的に用いて、チャレンジ・実行に移すのがこの時期。お米も、栄養価の高い玄米や分つき米、雑穀などをふんだんに利用することが多いです(試合が近づくにつれ、消化の良いお米にシフトします)。質の良い筋肉作りのためには、高たんぱく低脂肪食品を、動物性と植物性バランスよく摂取すること。たんぱく質の吸収を促すビタミンB6、ビタミンC、たんぱく質の分解や合成に関わるカルシウムやマグネシウムも意識。持久力アップに役立つ鉄分などのミネラルも意識して摂取します。
○4~6日目
筋肉にエネルギーをしっかりと蓄える作業が始まります。我が家では、炭水化物を普段の1.5~2倍近くまで増やします。炭水化物は消化の良い2種類以上から摂取。それぞれのエネルギーになる速度を利用し、時間差吸収させることで血糖値のバランスを長時間持続させます。パスタ、うどん、パン、じゃがいもやにんじんは、素早くエネルギーになる食材の代表。ビタミンB群やマグネシウムも積極的に摂取し、神経伝達に関わる栄養素も意識します。試合前日もエネルギー源となる炭水化物が中心ですが、生もの、さつまいもやごぼう、ひじきなど繊維質の多いもの、脂肪の多い食材(揚げ物や肉の脂身など)、香辛料の使いすぎなど、刺激が強いものはお腹がゆるくなったり、胃腸バランスを崩す可能性があるため、これらの摂取はできるだけ避け、砂糖のとり過ぎにも気をつけています。
※砂糖の変わりにはちみつの糖を利用しています。
6日目と7日目のレシピを紹介!
山瀬功治選手も実際に食べた6日目の主菜レシピと、7日目の試合3~4時間前に食べる献立を下記よりご覧下さい!
◆6日目「じゃがいもと豚肉のアーモンド酢炒め」のレシピはこちらから
◆7日目「理恵子先生のパワー献立」のレシピはこちらから
アス飯料理研究家
小学校教諭を経てサッカー元日本代表・山瀬功治と結婚。京都新聞朝刊にて3年間のスポーツ栄養レシピ・コラム連載を書籍化した著書「アス飯レシピ」を京都新聞出版より2017年8月に発売。アビスパ福岡アカデミーをはじめ、小・中・高などの各教育機関及び企業にて栄養講演、調理実習を開催。食育インストラクターや野菜ソムリエ、アスリートフードマイスターにアロマテラピーインストラクターなど豊富な資格を持ち、様々な分野で活躍中。
資格・経歴などプロフィール詳細はオフィシャルサイトへ