アス飯著者・山瀬理恵子先生がお届けする【脳を活性化するレシピ】

今年もいよいよ兵四郎米の収穫時期を迎え、皆様においしいお米をお届けできるよう着々と準備が進められています。今回は、プロアスリートを食事の面からサポートする、アスリートフードマイスター・山瀬理恵子先生によるお米を使った「骨強化レシピ」と「脳を活性化するレシピ」をお届けいたします。
『お米は日本が世界に誇る和食の要。人間の生命活動に欠かすことのできない重要な食材であり、伝統行事や日本文化継承にも密接する支柱的な存在です』と理恵子先生。お米の糖質は体を動かすためだけでなく、脳のエネルギー源にもなる優れもの。楽しく、驚きのある白米を使ったオリジナルレシピを、理恵子先生に考案していただきました。

さば缶チャーハン

【材料】2人分

ご飯(兵四郎米)・・・茶碗2杯分
※白米1合:玄米1合で炊いたもの
さば缶(水煮)・・・1缶
春菊・・・50g
卵・・・2個
高野豆腐・・・1枚

[A]
ココア・・・小さじ1
カレー粉・・・小さじ1
割烹がえし・・・大さじ1
白すりごま・・・大さじ1

【作り方】

1.春菊は茎を小口切り、葉をざく切りにする。ボウルに卵、粉状にすりおろした高野豆腐、[A]を入れて混ぜ合わせて卵液をつくる。

2.フライパンに油(分量外)を熱し、さば缶を汁ごと入れて煮詰め、汁気がなくなったら卵液を入れて強火で炒め、ごはん、春菊を加えて炒める。

脳と体を活発に働かせるには、糖質を摂取することが大切です。また、糖質を効率よく使うために必要なビタミンB群、脳を生き生きと若返らせるオメガ3脂肪酸(α-リノレン酸、DHA、EPA)、神経の大元となるタンパク質、神経伝達物質に関わるレシチン、マグネシウム、カルシウムなど、1つの栄養素だけでなく、より吸収率を上げる栄養素を組み合わせて摂取していくことがポイントです。脳と体を活性化する栄養素をパワフルに集結させた、オリジナルレシピの誕生です。ココア風味が他食材とどのようにマッチしていくのか、ご賞味ください。

お米

白米は*グリセミック指数(GI値)が高く、素早くエネルギーになってくれる優秀な食材。消化もよく、練習(運動)や試合前後の迅速なエネルギー補給に最適です。炭水化物は体内でブドウ糖に分解され、血液を通して全身に運ばれます。ハードなスポーツシーンでは2、3日前から炭水化物をしっかり摂取して、体内にエネルギーを保存しておくことが重要。炭水化物は運動だけでなく、脳のエネルギー源にも。体は脳からの指令によって動きます。冷めた状態で食べる(おにぎりなど)白米には、レジスタントスターチが含まれています。これは、食物繊維同様の働きをするため、血糖値の急上昇を防ぐ効果が期待できます。(野菜→たんぱく質→炭水化物など食べる順番を工夫することでも血糖値の急上昇を防ぐことができます。)

*炭水化物を摂取した時に血糖値が上がるスピードを表す指標

さば缶

DHA、EPAが豊富に含まれ、免疫力向上、抗炎症作用、脳の活性化、内臓脂肪の減少など様々な効果が期待できる青背魚のさば。DHAは不足すると情報伝達の低下(物忘れ)に繋がります。EPAには血流アップの効果が。また、水煮であれば軟らかくなった骨まで丸ごと食べられるため、カルシウムの補給にも最適。さらに、カルシウムの吸収を促すビタミンDも豊富で一石二鳥です。水煮の場合、さばを生のまま詰めて密閉してから加熱処理されるため、DHA、EPA他、栄養が全て残った状態で長期保存できるのがメリットです。

春菊

春菊に含まれるルテオリンには、脳の炎症を抑制し、脳機能をアップさせる作用が期待されています。慢性疲労は脳に炎症が起こっている可能性も。春菊の独特な香りはαピネンという成分で、自律神経に作用し胃腸の働きを活性化します。

*ルテオリンはこんな食材にも含まれます*
えごま、パセリ、セロリ、にんじん、しそ、りんご、ローズマリー

卵は良質なタンパク源であり、栄養の宝庫です。卵にはアセチルコリンの材料となるビタミンの一種、コリンや、コリンの原料にもなるレシチンが豊富。また、神経伝達に関わるビタミンB群や集中力を保持する必須アミノ酸のBCAAを含み、脳を活性化させるブレインフードの代表食として重宝されています。アセチルコリンは脳の前頭前野に働きかけることが分かっており、前頭前野は記憶力や集中力、コミュニケーション能力を発揮させる働きが期待されています。

高野豆腐

高野豆腐は必須アミノ酸量がダントツ。ミネラルや大豆サポニンなど抗酸化物質の宝庫でもあります。中性脂肪を低下させる働きのあるレジスタントプロテインを含み、生活習慣病の予防にも。若々しく疲れ知らずの体を作る、昔ながらの優秀健康食材。高野豆腐には記憶力や集中力、認知症予防にも有効とされる大豆レシチンも豊富です。

ココア

ココアにはカカオポリフェノールが多く含まれ、脳細胞の増加に必要な*BDNFを上昇させる効果が期待されています。BDNFは記憶を司る神経細胞の活動を活発化させ、不足すると記憶や学習能力の低下に繋がる可能性も。カカオポリフェノールは認知症やうつ病予防に役立つと、医学界も注目している機能性成分です。

*脳由来神経栄養因子

カレー粉

“食べる薬”と呼ばれる薬効食材。血流をアップさせ、スパイスの中では特にターメリックに含まれるクルクミンが、認知症予防食材として注目を浴びています。集中力や記憶力をアップさせ、神経細胞を保護。吸収率の悪いクルクミンの吸収率を上げるには、卵や高野豆腐に含まれるレシチンと一緒に摂取することがおすすめ。

白すりごま

神経の大元であるタンパク質、神経伝達物質に関わるカルシウム、マグネシウム 、抗酸化作用のあるビタミンEやセサミンなどが豊富。脳の若返りが期待できるお手軽な優秀食材で、スポーツシーンでは足がつるのも防いでくれます。

さば缶チャーハンで使用

アス飯料理研究家

山瀬理恵子(やませ・りえこ)

小学校教諭を経てサッカー元日本代表・現アビスパ福岡所属の山瀬功治と結婚。京都新聞朝刊にて3年間のスポーツ栄養レシピ・コラム連載を書籍化した著書「アス飯レシピ」を京都新聞出版より2017年8月に発売。アビスパ福岡アカデミーをはじめ、小・中・高などの各教育機関及び企業にて栄養講演、調理実習を開催。食育インストラクターや野菜ソムリエ、アスリートフードマイスターにアロマテラピーインストラクターなど豊富な資格を持ち、様々な分野で活躍中。

資格・経歴などプロフィール詳細はオフィシャルサイトへ